相続に関しては、亡くなった人を、被相続人といいます。
被相続人の「子」は、相続人となり、原則として、法定相続分にしたがい、一定の遺産を取得することができます。
なお、相続人となる「子」とは、被相続人と血縁関係のある子を意味します。
結婚している夫婦の間の子は、母親の相続人になり、同時に、父親の相続人にもなります。
これに対して、結婚していない男女の間の子は、婚外子又は非嫡出子といい、母親の相続人にはなりますが、当然には父親の相続人とはなりません。
しかし、結婚していないと言っても、間違いなく、その男性の子であるということはあるでしょう。
この場合に、親が結婚していないとの理由だけで、子に父親の相続権がないというのも、いまいち釈然としません。
そこで、このような事態に対処する方法(婚外子又は非嫡出子が、父親の子、すなわち、父親の相続人となる方法)があります。
それが認知です。
認知されますと、婚外子又は非嫡出子であっても、父親の相続人となることができます。
なお、父親に、他に子がいたとしても、この子との間で法定相続分に差はありません。
このように、父が亡くなって相続が発生した場合に、父と結婚していない女性との間の子の存在が明らかになるとき、隠し子が現れたという話になるのです。
父が亡くなりました。
父には、不動産や預貯金といった遺産があります。
父には妻がおり、この妻との間には子がいます。
父の相続人は、亡くなった当初、分かっていたのは、この妻と子のみです。
しかし、父には、妻と結婚する前に交際していた女性との間にも、子がいました(いわゆる「隠し子」が存在したのです。以下では、この子を「婚外子」といいます。)。
以上のケースを前提に、以下では、遺産分割当時、婚外子が父に認知されていたか否かに分けて、ご説明します。
認知されていることは、戸籍に記載されます。
したがって、遺産分割を行うにあたり、相続人を確定させるために戸籍調査を行えば、認知された婚外子が存在するかは明らかにすることができます。
では、戸籍調査の結果、婚外子がいると分かった場合、妻や子は、どうするべきでしょうか。
遺産分割は、相続人全員で行わなければならないため、認知された婚外子、すなわち、父の相続人である婚外子も加えて、遺産分割をする必要があります。
婚外子を除いて行われた遺産分割は無効となります。
認知されていないということは、戸籍調査によっても、婚外子の存在は明らかになりません。
とすると、この場合、婚外子の存在を知らずに遺産分割が進む可能性が高く、遺産分割が終わった後に婚外子が登場するということが考えられます。
では、遺産分割終了後に、婚外子が現れた場合、どうすればよいでしょうか。
まず考えなければならないのは、その婚外子が本当に、父と血縁関係のある子、すなわち、父の相続人なのかということです。
戸籍に記載もないことから、よりいっそう、にわかには信じがたい話です。
そこで、妻や子としては、婚外子から何らかの要求があったとしても、戸籍調査と遺産分割の結果を前提に、安易にその要求には応じないことが大事です。
一方で、父の相続人であると主張したい婚外子としては、死後認知請求をする必要があります。
死後認知請求が認められない限り、婚外子に、父の相続権はありません。
仮に、DNA型鑑定なども行いつつ、死後認知請求が認められた場合には、婚外子も、父の相続人であった、ということになります。
では、この場合、すでに終了した遺産分割が原則通り無効になり、遺産分割をやり直す必要があるのでしょうか。
民法は、このような場合を想定して、次のように定めています。
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
遺産分割後、認知によって相続人となった婚外子は、父の不動産などを取得するのではなく、遺産の取得者から、一定の金銭を受け取ることができるとされているのです。
遺産分割をやり直す必要は必ずしもありません。
上記(2)の場合は、戸籍調査を行ったとしても問題となる状況は生じますので、戸籍調査を行えば万全というわけではありません。
しかし、上記いずれの場合も、まず大切なのは、やはり、父の相続人を確定させるための戸籍調査を行うことです。
戸籍調査を行うことで、遺産分割を始める段階において相続人を把握し損なうということを防止することができます。
また、特に上記(2)の場合においては、婚外子が現れたとしても、この者が父に認知されていないということを戸籍の記載から確かめることができます。
当事務所では、ご依頼いただいた遺産分割を行うに際しては、相続人を確定させるために、必ず戸籍調査を行います。
上記(2)のケースは、戸籍調査によっても対応しきることはできないものの、それでも戸籍調査は欠かせません。
少なくとも、遺産分割を始めるにあたり、現時点で、相続人として誰がいるのかを確認することはでき、それは、遺産分割の進め方、有効性にとってとても重要なことです。
隠し子が存在するか否かにかかわらず、相続人の調査から遺産分割まで、弁護士がお力添えをすることで、適切妥当な遺産分割を成立させることができます。
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