マンション相続税、実勢価格6割に課税へ 国税庁が2024年から
- 2023年10月15日
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国税庁は、マンション相続税の新たな算定ルールを、2024年1月以降に相続などで取得した物件から適用することを正式に決めました。
従来、マンションの評価額は平均で実勢価格の4割程度にとどまっており、実勢価格が高額な傾向にあるタワーマンションなどで評価額の低さを利用した大幅な節税策が広がっていました。
新たな算定ルールでは、築年数や階数などに基づいて実勢価格を計算し、相続税額の根拠となるマンションの評価額が実勢価格の6割以上まで引き上げられる見通しであり、マンションの相続税評価額と実勢価格の差を利用した「マンション節税」を抑止することが狙いとされています。
マンション全般が対象となりますが、上記のとおり、特に影響が大きいとみられるのが総階数20階以上のタワーマンションです(国税庁が全国のタワーマンションについて2018年のデータを抽出調査したところ、平均して実勢価格と評価額に3.16倍の乖離があったことが分かりました。)。
国税庁が算定ルールを見直すきっかけになったのが2022年4月19日の最高裁判決です。同判決では、過度な節税策を否認した国税側の追徴課税を認め、判決理由で「他の納税者との間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反する」と言及されました。これも受けて、国税庁が1964年の通達に基づく現行ルールを抜本的に見直し、税負担の公平化を図るべく、2023年1月に有識者会議を立ち上げ、算定法の見直しを進めてきました。