パソコン,スマホで遺言書作成 手書き見直し,民法改正も視野に有識者会議で検討へ
本人の手書きと押印が義務づけられている「自筆証書遺言」について,デジタル機器でも作成できないか,法務省が令和5年10月内にも有識者会議を設置し,民法を改正するための議論を本格化させます。同年度中に制度見直しの方向性を示したい考えです。高齢者を含めてパソコンなどを使いこなす人が増える中,作成の負担を軽減して遺言書の利用を促進し,家族間の相続トラブルを防ぐ狙いです。
自筆証書遺言は手数料をかけずに作れますし,平成30年の民法改正により,財産目録についてはパソコンでの作成・添付が認められましたが,本文は対象外でした。本人の真意に基づくものであることを担保するためですが,相続人や相続財産が多くて長文になる場合は作成時の負担が重く,日付や押印を欠くなど不備があれば無効になるリスクもあります。
そこで,法務省は,現在の手書きに加えてパソコンやスマートフォンによる作成を認めたい考えです。
他方で,デジタル機器を使えば作成が容易になるだけに,今後は,本人の真意の確認や改ざんを防ぐ仕組みの導入も焦点になるものと考えられます。本人が書いたことを確認するため,手書きの署名のほか電子署名を活用したり,入力する様子を録画すること,高齢者に代わって家族の代理入力を認めるかどうかも議論される見通しです。